重力場中のスカラー場
一般相対論関連の記事を読んでいたときのこと。
ふと「スカラー場はどうなるんだろう?」と疑問に思った。
ググっても見つからなかったので、自分でやってみることにした。
ここでは以下の条件をおく。
1.計量・スカラー場ともに静的球対称
2.スカラー場は質量0の実スカラー場
3.計量は無限遠でミンコウスキー計量に漸近
4.スカラー場は無限遠で0に漸近
まず条件1から線素は
とおける。
ここで
は動径の関数
では真空中の光速度、は時間である
ただし条件3から、である必要がある
変数をととれば
計量は線素から
となる。また上付きの方は
である。また、あとで使うだろうからも計算しておく。
通常であれば、ここからクリストッフェルの記号を計算してとなるのだが長い。
過程は省略して、リッチテンソルの計算結果だけ書くと
ほかはすべて0になる。
ただし、はの微分を表す。
続いてスカラー場を考える。質量0の実スカラー場のラグランジアン密度は
で与えられる。ただし、積分して作用を求める際にが掛かるのでその変分は
これから
ここで
を使うと、最小結合のクラインゴルドン方程式
が得られる。いまは条件1からがのみの関数なので
となる。
また、エネルギー運動量テンソルは
を使うと
いま
を定義すれば
である。がのみの関数であるから以外は0である。
これから、アインシュタイン方程式は
となる。
式にを掛けて縮約すると
これを式に代入して、整理すれば
となる。
あとは、今までの結果を代入すれば解くべき式が得られる。
あとは式を解けばいいのだが、その前にもう少し調べておく。
まず式を変形していく。
ここで、
(ただしはの関数)
とおくと
となる。これから
を得る。この表式をつかうと線素は
となる。これを
と変形してを使うと
となる。ただしを定義した。
式は後ほど必要となる。
またについては、条件3のためのとき、つまりである必要がある。
次は式を解くことにしよう。いまから
が成り立つから、を以下のように変形できる。
これを積分すると
両辺の指数を取れば
ここでは任意の定数である。これより
が得られる。
あと使っていないのは式である。
を計算すると
ここでから次式が成り立つことに注意する。
式に式を代入すると
これを整理すると
となって大分すっきりする。
辺々積分すれば
となる。ここには任意定数である。これを変形すると
となって、変数分離形になる。あとは積分するだけである。
ここで、とおくと、であるから
ここでとおいた。
ただしは任意定数である。
ここで のときであることを使うとでなければならない。
結局との関係式は
となる。
が負のときは、べき乗が定義できない場合があるためでなければならないだろう。
つづいて線素をもとめるのだが、をの関数として解くのは難しい。そこでを変数とした場合の式を使う。
途中の計算は省略するが
となるから、線素は
である。ここで
である。
残るはスカラー場だけである。式は
である。ここで
を使うと
だいぶ煩雑になってきたが、結論からいうとの係数はになるので
よって
であるから絶対値記号は外してある。
また積分定数は条件4からでなければならないだろうからスカラー場の式は
となる。
とりあえず終わった。
アインシュタイン方程式の厳密解には、最初に解いた人の名前がつくらしいが
この解には誰の名前がついているんだろうか?
暇なときにでも調べてみよう。