電磁場とスカラー場の相互作用
電磁場と相互作用する複素スカラー場の式を眺めていたとき、
ふと疑問に思った。
「この系の自由度っていくつなんだろう?」
気になったので調べてみることにした。
この系のラグランジアン密度は、
ここで
は電磁ポテンシャル、は複素スカラー場の質量、は複素スカラー場の電荷、アスタリスクは複素共役を表す。ちなみに計量はである。
は4成分の実ベクトルだから自由度4、は複素変数なので実数換算で自由度2、合計して自由度6になっている。
まず、ゲージを固定してみる。
であるとして、Gauge変換
を行うと
ここで、である。
あとは何ができるだろうと調べたら、Clebsh potentialというのが見つかった。
これは任意の3次元ベクトルに対して、あるスカラー変数が存在して
が成り立つというもの。
上の式のをベクトルポテンシャルとみれば、3自由度のベクトルポテンシャルを3個のスカラー変数で表現できたことになる。
うれしいのは、スカラー変数を使って、
電磁ポテンシャルの0成分を
とおいても、Maxwell方程式と矛盾しないことだ。
ここで
を使って、を計算してみると
となる。このことからは
となる。あるいは
[tex: Q =
\begin{vmatrix}
\partial _{\mu} \alpha \partial ^{\mu} \alpha & \partial _{\mu} \alpha \partial ^{\mu} \beta \\
\partial _{\mu} \beta \partial ^{\mu} \alpha & \partial _{\mu} \beta \partial ^{\mu} \beta
\end{vmatrix} ]
を定義して とも表せる。
を使った場合のラグランジアン密度は
ここで
であるから、 とおけば
となる。
残った変数はだけであるから、この系の自由度は4であるとしていいだろう。初め6個あった自由度のうち2個は冗長な自由度だったということになる。
【追記】2022.08.01
ゲージ固定は後のほうがよかったかもしれない。